このエピソードの概要
米国・ヒューストン・メソジスト病院 泌尿器科部門長のカスリーン・コバシ医師が、排尿・排便に関するとても個人的な悩みを医療者と話すとき、患者さんがどのように感じているか、そして次の受診をより安心で有意義な時間にするためのヒントを語りました。医師は、こうした話題を打ち明ける難しさを理解している――その前提に立ったうえで、診療室での配慮やコミュニケーションの工夫が紹介されています。
(米国では)本ポッドキャスト「Life Without Leaks」はNAFC(National Association for Continence:米国全国失禁協会)が制作しています。司会はブルース・カッソーヴァーさん、NAFC事務局長のスティーブ・グレッグさんも参加しました。
泌尿器科という分野と女性医師の増加(米国)
コバシ医師は、医学生時代の選択実習をきっかけに泌尿器科の道へ進みました。自身の父が泌尿器科医だったことも背中を押したそうです。
女性医師の比率については、(米国では)自身がキャリアを始めた当初は国内で約80人程度だったのに対し、直近のAUA(米国泌尿器科学会)の調査では女性の割合が10%をわずかに超えたとされ、志望者も増えており前向きな傾向がうかがえると述べています。
受診までの「最初の壁」
失禁や骨盤底の不調は「年齢のせい」と受け止められがちで、受診につながりにくいことがあるといいます。コバシ医師は、泌尿器科・ウロギネコロジー・骨盤底医療の領域には、生活の質(QOL)の向上につながるとされる選択肢が複数あることが多いので、まずは「相談してよい問題だ」と知ってもらうことが大切だと強調します。
診察室で大切にしていること
患者さんが安心して話せる「安全で思いやりのある場づくり」は最優先といいます。排尿・骨盤底・婦人科(男性では泌尿生殖器)に関する話題は非常にデリケートで、医療者側がガイド役となって言葉を選び、丁寧に聞き取る姿勢が欠かせません。
また、症状の背景には複数の要因が絡む場合があり、「何が最も困っているのか」を一緒に見極める“探索”が必要です。たとえば、
- 咳・くしゃみ・走るなど体に力がかかったときに漏れるタイプ
- 急に強い尿意が出て「今すぐ行かないと」という感覚に伴って漏れるタイプ
では、対処の考え方が異なることがあります。図や模型なども用いながら、「同じ“漏れ”でも性質が違うことがある」ことを共有し、患者さんと医療者が同じ理解で出発することが重要だと述べています。
プライマリケアとの連携(米国の状況)
(米国では)まずはプライマリケア(かかりつけ医・看護師など)が入口になることが多い一方、時間や知識の制約から見過ごされることもあるとの指摘がありました。コバシ医師は、プライマリケアの現場では「尿のコントロールで気になることはありませんか?」と一言問いかけ、必要に応じて専門医につなぐだけでも患者さんの道が開けると述べます。最初の段階で一般的な対応(たとえば一部の薬物療法など)を試みる場合もありますが、状況に応じて専門医へ紹介することが勧められるとしています。
テレメディシンという選択肢(米国)
地理的な距離は、(米国では)オンライン診療の活用で以前ほどの障壁ではなくなってきたといいます。対面で同じ部屋にいる良さはあるものの、初期相談や経過の確認など、特に排尿コントロールの悩みではオンラインが有効に機能する場面があるとされています。
心の健康と生活の質へのまなざし
失禁は単独の症状に見えて、外出や社交の機会を避けるなど生活範囲の縮小につながり、孤立感や落ち込みを招くことがあります。コバシ医師は、患者さんが落胆しないよう寄り添い、非侵襲的な方法も含めた選択肢があるとされていること、同じ悩みを抱える人は少なくないことを伝える“コーチング”や“カウンセリング”的な関わりも大切だと語ります。
一歩踏み出すためのメッセージ
コバシ医師は、「この問題は珍しいことではなく、恥ずかしがる必要はありません。相談できる選択肢があるとされており、生活の質の向上が期待できる場合があります」と呼びかけます。まずは受診して、医療者と一緒に自分の症状を言葉にするところから始めることが勧められます。
NAFCからの情報発信(米国)
- NAFC(米国全国失禁協会)の情報は NAFC.org で公開されています(米国の団体です)。
- (米国では)Facebook、Instagram、Twitter でも毎日ヒントや最新情報を発信しています。リンクは原文の案内をご参照ください。
- なお、このポッドキャストは(米国で)医療機器メーカー Medtronic の支援を受けており、番組内では仙骨神経刺激療法(sacral neuromodulation)に関する米国向けの情報サイト案内がありました。特定の治療の適応や選択は個別に異なります。
クレジット(米国)
番組の音楽は Kevin McLeod「Rainbows」(incompetech.com)です。
受診のご案内
気になる症状がある場合は、自己判断に頼らず、まずは医療機関にご相談ください。症状の性質や重なり方により対応は変わります。適切な受診先やタイミングについても、かかりつけ医に相談することが勧められます。